コラム

バンドワゴン効果とは?事例で解説

ウェブ戦略コンサルタント

小野瀬 友樹

今回のコラムでは、マーケティング業界でもよく知られているバンドワゴン効果について紹介したいと思います。
マーケティング業界では、多用される効果でもありますが、デメリットなどについても触れているので、参考にして頂ければ幸いです。

それではみて行きましょう。

バンドワゴン効果とは?

まず、バンドワゴン効果とは、人が他人の行動や意見に影響を受けて、それに同調しやすくなる心理現象のことを言います。

例えば、知らない土地でも行列のできているキッチンカーを見ると「自分も食べてみたいな」と感じることはないでしょうか。

私たちの心は、多くの人々が特定の人物の行動や意見を支持していると知ると、その情報に流されて同調しやすくなる傾向があります。

この効果は、集団心理学や社会心理学の観点で、一定の理解がされていて、人々が群れる性質や社会的な認知の偏りに関連していると考えられています。

 バンドワゴン効果の提唱者は?

バンドワゴン効果は、アメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタイン(Harvey Leibenstein)によって提唱されました。

ライベンシュタインは1950年に出版された著書「The Theory of Economic Policy」の中で、バンドワゴン効果を「多くの人が選択しているという理由だけで、ある選択肢を選ぶ傾向」と定義しています。

まさに、偶然見つけたキッチンカーにもかかわらず、多くの人が並んでいるという理由だけで、「自分も食べてみたいな」と感じる事象を説明できます。

バンドワゴン効果が社会に与える影響

バンドワゴン効果が働くと、他人の行動や意見を模倣するようになります。
模倣されたそれらの行動や意見が支持されることで、それらに触れた第三者がさらに模倣するという、相乗的な効果に発展することもあります。

このバンドワゴン効果はさまざまなところで発生する現象ですが、事象が出やすい例としては、選挙の投票や消費行動、社会的なトレンドなどがあげられています。

具体的には、選挙投票であれば、多数派の候補者や政党が支持されると、その支持に加わる人々が増え、選挙結果や政治的な意思決定に影響を与えたり、また消費行動で言えば、キッチンカーの例のように行列という事象が他人の意思決定にも影響を与えるといったことです。

これらの事象のように、バンドワゴン効果は社会的な行動に影響を与える重要な要因の一つで、人々の行動や意思決定においても重要な影響を持つと考えられています。

マーケティングにおいては、特定の商品やブランドが人気になる(もしくは、人気になったように見せる)ことで、商品やブランドの選択される確率が高まり、売上が上がる可能性が高くなるということです。

バンドワゴン効果の事例

バンドワゴン効果の事例には主に次のようなものがあります。

SNSでのトレンド

特定の商品やサービス、考え方などがSNSで話題になったことで、多くの人々がそれに影響されることがあります。
他人の行動に影響を受けて同じような行動や意見に同調するSNSの行動は、典型的なバンドワゴン効果の一例と言えます。

投票行動

選挙や投票の際に一部の候補者や政党が支持を集めると、他の人々もその支持に加わることがあります。
特に浮動票といわれる支持者が特定していない人の投票は、有力な候補者や多数派の政党に流されることがあります。

製品やサービスの購買行動

特定の商品やサービスが人気で話題になると、その影響を受けて同じ商品やサービスを購入する人が増えることがあります。
例えば、「累計○○万人の人が購入しました!」といったキャッチコピーもバンドワゴン効果を狙った手法のひとつです。

行列のできるお店

キッチンカーの例のように行列ができていると、あそこのお店はおいしいのではないだろうか、と記憶に残ることがあります。
その時に入店するかどうかはおいといて、記憶に残るというのはバンドワゴン効果のひとつと言えます。

ここで重要なことは、本当においしいかどうかは関係ない点です。

料理を出すのが遅いだけ、もしくは店内の椅子の数が少ないだけ、という理由で行列ができているかもしれないのです。

これらの事例では、他人の行動が人々の意思決定に影響を与え、多くの人々が同じ方向に流れる現象が見られます。
一方で、そうでない現象も確認されています。

アンダードッグ効果とスノッブ効果

バンドワゴン効果は、多くの人が選択しているものに魅力を感じて、自分もそれに影響されてしまう心理現象ですが、
このバンドワゴン効果とよく比較される現象に、アンダードッグ効果とスノッブ効果があります。

アンダードッグ効果

アンダードッグ効果は、少数派や弱者に対する同情や支持を示す心理現象のことです。

この効果は、多くの人が行っていることや流行に逆らって、逆境に置かれている人やマイナーな製品、サービスなどに共感したり支持したくなる心理現象です。
バンドワゴン効果と対照的である一方で、一部の状況では相補的な関係にあることもあります。

例えば、バンドワゴン効果によって一般的な意見が優勢になったからこそ、それに逆らうことが個人のアイデンティティや価値観に合致して支援的な行動をとることもあります。
これはアンダードッグ効果が発揮される可能性があります。

バンドワゴン効果とアンダードッグ効果は、社会的な意思決定や行動に影響を与える点では相反する心理的メカニズムではありますが、一方が優勢になることによって生じる事象なので、相補的な関係とも言えます。

スノッブ効果

また、スノッブ効果は、一般的に高価な商品や高級ブランドを選択することで、他の人との差別化や独自性を示そうとする心理現象のことです。

この効果を示す人々は、他の人々と異なる製品やサービスを選択する事で、自身の価値感や気高さをアピールしようとします。
典型的なスノッブ効果の例としては、高価な時計やブランド品、エリート向けの特別なイベントへの参加などがあります。

たとえば、クレジットカードを多用する経営者は経験があると思いますが、クレジットカードのプラチナカードへの特別限定招待等も、スノッブ効果を狙ったものと言えます。

スノッブ効果もアンダートック効果と同様、バンドワゴン効果と消費者行動や意思決定においては対立する心理現象と言えますが、マジョリティ層が存在する前提での効果なのでやはりこれも相補的と言えます。

バンドワゴン効果の注意点やデメリット

このようにバウンドワゴン効果は、売り手視点では売上向上や認知度向上に貢献する形でも活用できてしまうため、マーケティングにおいても多用されている効果です。
しかしながら、すべての人が売り手であり買い手でもあるという前提に立てば、買い手視点で誤った意思決定にもつながるといったリスクも知っておく必要があるでしょう。

ここではバンドワゴン効果の注意点やデメリットを上げておきたいと思います。

顧客の自律性低下

バンドワゴン効果により他人の行動に引きずられることで“自分で選択する”という自律性が低下してしまう可能性があります。
自律性が低下してしまうと、他人の影響を受けて自分の好みやニーズに合わない商品やサービスを購入してしまうことや、気づかないうちに自分に不都合な意思決定をしてしまう、ということが懸念されます。
買い手視点では大きなデメリットですが、売り手視点で考えても、ニーズに合っていない顧客からの購入が、その後のクレーム等、企業にとってもリスクとなることがあります。

集団心理の影響

また、組織内でおこるバンドワゴン効果にも注意が必要です。
人々が群れることで組織(集団)内での判断が浅はかな判断になってしまい、論理的な意思決定ができなくなってしまうことがあります。
このことを集団浅慮ともいいますが、大きな組織であればあるほど、バンドワゴン効果が逆効果になり、集団の意識決定に影響を及ぼすかもしれません。

バブルの形成

バンドワゴン効果により、市場や投資などの特定の分野で過度な人気が生じると、バブルが形成される可能性があります。バブルというぐらいなので中身は空です。
実態の伴わない市場や投資の動きは、いずれ何らかのきっかけで急速に勢いが減少する崩壊が起きることになります。
このバブルの崩壊が起きると、その影響が経済市場全体にも及ぶことがあり、大きな経済的損失が発生します。

WebやSNSでの事例

近年は特にWebやSNS上でバンドワゴン効果が活用されています。
そこで、WebやSNS上で活用されている例をいくつかご紹介します。

SNSでのトレンド

インスタグラム、Twitter、TikTokなどのSNSプラットフォームでは、特定のハッシュタグやチャレンジ、マイムなどがトレンドとなり、多くの人々がそれに参加することがあります。

例えば、特定のダンスチャレンジや革新的なブランドの商品の利用が、バンドワゴン効果によって広がることがあります。

オンラインコミュニティでの意見形成

インターネット上のフォーラムやコミュニティでは、特定の意見や主張が広まり、多くの人々がそれに同調することがあります。

特に、特定の問題に関する議論や論争がある場合、バンドワゴン効果によって多数派の意見が強調され、他の参加者もそれに同調する傾向があります。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーがSNS上で特定の商品やサービスを宣伝し、その影響力を活かして多くのフォロワーがそれに興味を持つことがあります。

この例では、インフルエンサーの投稿によって、バンドワゴン効果が生じ、商品やサービスへの関心が高まることを狙っています。

オンラインセールやイベント

オンラインストアやイベントサイトでは、限定販売や数量限定の商品、タイムセールなどが行われることがあります。

このような場合、一時的に多くの人々が購入することで、商品や店が行列となって人が集まり、バンドワゴン効果が生じます。

例えば、オンライン上では、「残り〇点。お急ぎください。」「この商品は現在、〇名の方に閲覧されています」というメッセージはバンドワゴン効果を狙ったものです。

これらの事例は、WebやSNS上でのバンドワゴン効果の活用に関する一部の例です。

特定の商品やサービスの宣伝、意見の形成、イベントの参加など、さまざまな領域でバンドワゴン効果を図った例は多数存在します。

まとめ

今回は、近年WebマーケティングやSNSマーケティングに多用されているバンドワゴン効果を紹介してみました。

バンドワゴン効果は、半世紀以上前に提唱されている効果ですが、今でもなお、デジタルマーケティングで活用されており、それら理解することで、WebやSNSの集客に一定の成果が得られる可能性があります。
一方で、誤った活用をしてしまうと、思わぬトラブルやリスクを招くこともあるので、バンドワゴン効果に対する十分な理解と、その効果だけでない、マーケティング全体を見渡した本質的な戦略が重要になります。

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この記事を書いた人

ウェブ戦略コンサルタント

小野瀬 友樹

ウェブマーケティング戦略コンサルタント。コンサル実績:月間1000万PV/問い合わせ数約6倍/売上10倍など。企業ブランドが発信すべきメッセージを企画し、広告/SEO/サイト改善を活用して実現する。ウェブ解析士マスター。

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