コラム

読者を惹きつけるインタビュー記事の作り方とは?取材の流れや執筆のコツ

ウェブ戦略コンサルタント

小野瀬 友樹

オウンドメディアや採用ブランディングを強化するには、より独自性の高いコンテンツの提供が欠かせません。
そこで活用したいのが、インタビュー記事です。
インタビュー記事は、一般的な記事とは制作プロセスが大きく異なるうえ、事前の準備・取材・執筆と、公開まで長い時間を要します。また、読者の興味を引くような、いわゆる”読まれるコンテンツ”を目指すには、さまざまな工夫も必要です。

今回は、インタビュー記事の作り方について、制作の流れや、取材・執筆時のポイントなども交えて詳しく解説します。

インタビュー記事とは?

はじめに、インタビュー記事の特徴と役割、インタビュー記事の3つの形式についてご紹介します。

インタビュー記事の特徴と役割

インタビュー記事とは、特定の人物と対談や質疑応答を行い、その取材内容をもとに制作された記事のことです。取材対象者の想いや言葉をダイレクトに伝えられる点が特徴で、信ぴょう性の高い、リアルな声を記事に反映することができます。

取材を受ける人を「インタビュイー」、取材をする人を「インタビュアー」と呼ぶことが一般的です。

インタビュー記事は、読者に商材やブランド、企業に対する理解・共感を深めてもらうきっかけとなるだけでなく、独自性の高いコンテンツの提供という意味でも重要な役割を果たします。

例えば、以下のようなケースでの活用が考えられます。

【認知拡大・販売促進】
・自社の商品やサービスを利用している顧客や取引先に取材を行い、「生の声」として紹介。信頼性の高い意見を反映させることで、訴求力を高めます。

・開発担当者に取材を行い、商品・サービスの開発ストーリーや秘話を紹介。コンセプトや熱意を伝えることで読者の共感を生み出し、ファンの獲得につなげます。

【採用ブランディング】
・経営者に取材し、企業理念や自社の強みなど、会社や従業員に対する想いなど、会社のトップとしての考えを紹介し、ブランディング強化を目指します。
・従業員に取材し、実際に働く中で感じる大変さややりがいを紹介。「自社らしさ」や「自社ならでは」の魅力を伝え、採用活動における競争優位性の確保につなげます。

インタビュー記事の種類

インタビュー記事には、主に3つの形式があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、読み手が受ける印象も大きく異なりますので、記事の目的に合わせて形式を選ぶことが大切です。

対談形式

対談形式(Q&A)は、インタビュアーが質問し、それに対してインタビュイーが回答するという、一問一答スタイルの記事です。インタビュー記事の中ではもっともポピュラーで使いやすいでしょう。

実際に会話をしているような、話し言葉に近い文体で作成するため、インタビュイーの人柄や、取材時の雰囲気を表現することに長けています。
また、シンプルでリズムよく、読者が読みやすいことも特徴です。一方で、情報量に対して文章のボリュームが多くなりやすい点はデメリットといえます。

【対談形式の記事例】
Q:若くして創業されたとうかがっています。
A:あの時は……20歳になった頃だったと思います。大学2年生でしたね。
Q:学生と経営者の両立は、難しかったのではないですか?
A:そうですね。大変だったことも多いですが、チャレンジの連続というのはとても刺激的で、充実した日々でした。

モノローグ形式

モノローグ(一人称)形式とは、インタビュイーが一人で話しているようにまとめるものです。インタビュアーとのやり取りをなくすことで、インタビュアー本人が読者に直接語りかけるような文章になるため、よりその人の想いやメッセージが伝わりやすくなります。
著名人や経営者などのインタビューに適したスタイルといえるでしょう。

読者に親近感を抱いてもらいやすい一方で、インタビュアー側の視点や考察が入れにくいというデメリットもあります。

【モノローグ形式の記事例】
創業当時、私は大学2年生でした。学生と経営者の両立というのは決して容易ではなかったですが、チャレンジの連続というのはとても刺激的で、充実した日々だったと思います。

ルポルタージュ形式

ルポルタージュ形式は、第三者の視点に立ってまとめるインタビュー記事です。客観的な視点に立っており、インタビュイーが話した内容以外の情報も補足しやすいため、論理的な印象を与えることができます。

「だ・である」調を用いることが多く、他の形式に比べると硬い雰囲気が出るため、使用シーンは限定的です。

【例】
A氏が起業したのは、大学2年生の時だったそうだ。学生と経営者との両立は難しくなかったかと尋ねると、「大変なことも多かったが、刺激的で充実した日々だった」と、明るい表情で当時を振り返った。

インタビュー記事の作り方【事前準備編】

続いては、実際の制作プロセスに沿って、インタビュー記事の作り方を解説していきます。ここでは事前準備のステップとして、企画~インタビュー実施までの流れをご紹介します。

①インタビュー記事の目的やゴールを決める

まずは、インタビュー記事の目的や役割を決めましょう。記事を読んでもらうターゲットは誰なのか、何を伝えたいのか、記事を読んだ後、ターゲットにどのような行動を促して、どんな効果・成果を得たいのかというゴールを明らかにします。

例えば、採用ブランディングを強化したいのであれば、求職者に「この会社は魅力的だな」「この会社で働いてみたいな」と感じてもらえるような記事を目指すことが求められます。

②取材対象者を決定し、アポイントを取る

記事の方向性が定まったら、取材対象者を決定し、取材の依頼とアポイントメントを取ります。(取材対象者が事前に決まっている場合を除く)

取材時の写真撮影の可否など、相手の意向についても確認しておくとよいでしょう。社外での取材となる場合は、インタビューを実施する場所についても併せて検討しておくとスムーズです。

③取材内容や対象者について”徹底的に”リサーチする

アポイントメントが取れたら、取材内容や取材対象者についてのリサーチを徹底的に行いましょう。

例えば、特定の商品・サービスを扱う企業への取材であれば、その製品についての基本的な情報だけでなく、製品に関わる分野の知識や専門用語、最新ニュースのほか、その企業の歴史や経営理念、事業内容などについても押さえておきます。
個人にインタビューを行う場合は、ホームページや本人のブログ、SNS、出版物などを全てチェックしておくとよいでしょう。

専門的な分野、領域に特化した企業や人物にインタビューする場合、インタビュアーにもある程度の知識がなければ、対話をスムーズに進められないケースもあります。反対に、十分にリサーチし、精度の高い質問ができれば、記事のクオリティを高められるでしょう。

ただし、リサーチした情報から思い込みを強くしてしまうと、インタビュイーに対するイメージが偏ってしまう可能性もあるので、フラットな姿勢で対応することを心がけます。

④質問内容をまとめ、取材対象者に共有する

リサーチ内容を参考にして、質問を作成します。質問によって「事実」を確認するのではなく、インタビュイーの「想い」「考え」「背景」を引き出すという視点で考えることが望ましいです。

インタビュアーが求める情報を自然な流れで引き出せるよう、質問の順番についてもある程度組み立てておくとよいでしょう。質問内容がまとまったら、インタビューの概要と併せて取材対象者に共有します。

インタビュー記事の作り方【取材当日編】

https://www.photo-ac.com/main/detail/4322649
続いては、当日のインタビューの流れと、スムーズに進めるためのコツをご紹介します。取材が有意義なものとなるよう、インタビュイーと丁寧にコミュニケーションをとりながら取材を行いましょう。

取材当日の持ち物

対面で取材を行う場合の持ち物は以下の通りです。

・ボイスレコーダー(スマートフォン)
雑音で音声が遮られる、電池切れなどに備えて2台以上用意しておくとよいでしょう。

・カメラ
取材時の様子を記事に掲載する場合は必須です。複数人が会話に参加する場合、音声のみだと誰の発言かがわからなくなる可能性がありますので、動画記録という目的でも活用できます。

・メモ
質問事項を印刷したメモ、またはパソコンなどでも構いません。インタビュイーの回答を書き込めるだけでなく、進行台本としての役割もあります。

・名刺
ビジネスマン必携のものです。

インタビューの流れ

実際のインタビューは、一般的に以下のような流れで進めます。

①インタビューの趣旨について改めて説明する
 ・公開までのスケジュール
 ・録音・撮影の許可、データの取り扱い
 ・写真撮影のタイミング
 ・インタビューに関する希望、要望など
②インタビューを実施する
③写真撮影を行う(必要に応じて)
④インタビューのお礼を伝える

取材のコツ①アイスブレイクを行う

インタビュアーとインタビュイーの関係性がそれほど深くない場合、会話が盛り上がらず話を引き出せないこともあります。
いきなり本題に入るのではなく、アイスブレイク(緊張をほぐす軽い世間話やコミュニケーション)を入れて場の空気を和ませ、話しやすい雰囲気を作りましょう。

アイスブレイクに使える話題例をご紹介します。
・季節やその日の天気
・最近のニュース(政治・宗教・スポーツ等は避ける)
・インタビュイーの出身地や経歴
・趣味(あらかじめリサーチできている場合)

取材のコツ②積極的な姿勢で話を聞く

インタビュアーが一方的にその場を仕切ったり、インタビュイーに任せきりにしたりするのではなく、「一緒にこの場を作り上げる」という意識を持つことが大切です。
適度なリアクションは相手の心を開き、円滑なコミュニケーションにもつながります。

インタビュイーが気持ちよく話すことができるよう、あいづちを打つ、うなずくなど、話題に興味を持っているという態度を示しましょう。
アイコンタクトを取る、表情やジェスチャーを交えることも効果的です。

取材のコツ③話題を深掘りする質問で考えを引き出す

事前の質問になくても、さらに話題を広げたり、掘り下げたりすることでインタビュイーの考えをより引き出せる可能性があります。その場の流れを大切にし、臨機応変に対応していくことが求められます。

5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識した質問で詳細を尋ねる、あるいは「過去」「未来」と時間軸を変える、他の選択肢と比較するなど、異なる視点からの質問を投げかけることで解像度が高まります。

【例】
「なぜ、そうしようと思ったのですか?」
「どのような背景があったのですか?」
「◯年後はどうですか?」
「もし、◯◯だったら(ではなかったら)どうでしたか?」
「◯◯と比べるとどうですか?」
「◯◯以外の理由はありますか?」

取材のコツ④テーマからそれた話題にも耳を傾ける

インタビューを進めていく中で、本筋やテーマからそれた話題が盛り上がることも少なくありません。

そのような時に、慌てて本筋に戻そうとするのではなく、丁寧に耳を傾けて話を聞くことで、思わぬエピソードが聞き出せたり、インタビュイーの意外な一面に出会えたりする可能性もあります。新しい発見を得られれば、記事により深みをもたせることができるかもしれません。

取材のコツ⑤メモに集中しすぎず、会話を優先する

インタビューの間は、インタビュイーの話に意識を向け、会話を最優先にします。重要なポイントを書き残しておくことは必要ですが、メモをとることだけに集中してしまうと、会話が途切れてしまい、インタビュイーは「ちゃんと話を聞いてもらえているのだろうか?」と不安や不信感をインタビュアーに対して抱いてしまいます。

後で録音している音声を聞き返そう、という気持ちで、目の前の相手とのコミュニケーションを大切にしましょう

取材のコツ⑥タイムコントロールをする

取材においてしばしば起こりがちなのが、予定通りの時間にインタビューが終わらないという問題です。例えば1時間スケジュールを確保していても、前後のあいさつや準備、写真撮影などを考慮すると、実際に取材に使える時間は45分程度になることもあります。

話が盛り上がって脱線することも少なくありませんので、聞きたいことが聞けずに終わってしまわないよう、インタビュアーは時間配分を意識して進めていくことが求められます。万が一、取材時間の延長が必要になりそうな場合は、早めにインタビュイーに確認しましょう。

インタビュー記事の作り方【執筆編】

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ここからは、インタビュー記事を執筆していく流れをご紹介します。

①文字起こしをする

取材後は、なるべく早めに文字起こしに取り掛かります。全て手作業で文字起こしをする場合、10分程度の録音データで約1時間かかるとも言われています。自動で文字起こしができるツールを活用するほか、リソースが足りない場合はアウトソーシングを検討してもよいでしょう。

文字起こしは主に3つの方法があります。

【素起こし】
話した言葉を全て書き起こす方法。「あー」「えっと」といった言い淀みや言い間違いも省略、訂正せず文字化します。

【ケバ取り】
言い淀みや言い間違いなどを取り除いて書き起こす方法。素起こしより読みやすくなりますが、主語が途中で変わるなどして、意味が伝わりにくい文章もあります。

【整文】
ケバ取りした文章をさらに読みやすく整える方法。助詞を補ったり、ら抜き言葉を正しく直したりして修正します。

インタビュー記事の場合、ケバ取りで大まかに文字起こしをした上で、記事の方針や構成に沿って修正していくことが一般的です。

②構成を考える

文字起こしをした文章をチェックし、トピックごとに分類します。事前準備で決めた記事の目的やゴールと、実際のインタビュー内容を踏まえて、記事の大まかな構成を作りましょう。

例えば、ストーリー仕立てで過去から現在、未来へと時系列を進めていくドラマチックな構成のほか、SDS法やPREP法のように論理的に組み立てる構成もあります。インタビューの内容やテーマに合わせて検討しましょう。

③執筆する

文字起こしした文章と構成をもとに、実際の記事を執筆します。

インタビュー時の雰囲気を伝えるためには、なるべくそのままの言葉を書いたほうがよいのではと感じるかもしれませんが、文章としては読みにくいことも多いです。ニュアンスが変わらない程度に言葉や表現を修正し、読者が読み進めやすいよう整えます。

話の本筋やインタビュイーの意図などが誤った解釈で伝わらないよう注意すれば、必ずしもインタビューの内容を全て載せる必要はなく、順序の入れ替えや表現の変更も問題ありません。
ただし、インタビュイーが発言していない内容を加える、極端に誇張する、重要な部分を省略するなどの過剰な修正は、嘘を伝えることになりかねないため避けましょう。

④校正・編集をする

執筆を終えたら、誤字・脱字や文章としておかしなところがないか確認します。可能であれば、執筆者以外の第三者にチェックしてもらうことが望ましいです。
難しい場合は、少し時間を空けてから作業に取り掛かりましょう。併せて、インタビュー内で出てきたデータや数値などについては改めて調査を行い、事実関係に問題がないか、正しい情報であるかを確かめます。

⑤インタビュイーにチェックしてもらう

初稿が完成したら、インタビュイーにチェックを依頼します。
まれに、取材時に語ったことが公表できない情報だったというケースもありますので、内容に間違いがないかどうか、意図や真意が正しく伝わっていない箇所はないかなどを細かく確認してもらうことが重要です。
インタビュイーからのフィードバックを貰ったら、両者が納得できるクオリティに仕上げましょう。

”読まれる”インタビュー記事を作るコツ

https://www.photo-ac.com/main/detail/30407483
最後に、魅力あるインタビュー記事を作るための4つのポイントをご紹介します。

起承転結の流れをつくる

起承転結の流れを意識して作ると、読者を引き込むことができます。興味を引く導入、わくわくする中盤、あっと驚く転機、共感を生むドラマといったように、メリハリをつけて話題を展開し、読者を飽きさせないように工夫しましょう。

必要に応じて情報を補足する

読者がスムーズに記事を読み進められるよう、インタビュイーや企業の情報などを補足しておくことが大切です。
例えば、採用サイトに掲載する従業員インタビューなら、「何年働いていて、どの部署でどんな業務を担当しているのか」、自社のサービスを利用している取引先へのインタビューなら、「どのような業界で、どのような事業を展開しているのか」などを記載します。

”キーフレーズ”を盛り込む

インタビューを振り返り、特に印象に残っている言葉やインパクトのあるフレーズがあれば、タイトルや見出しに盛り込みましょう。
インタビュイーの強い想いやメッセージなど、記事の核となりうる内容を、インタビュイーの発言としてそのまま引用することで、コンテンツの独自性をいっそう高めることができ、読者の関心を引き寄せます。

インタビュイーの人柄や雰囲気を伝える

インタビュイーの人柄や雰囲気がにじみ出るような工夫も、重要なポイントです。
ある程度読みやすい文章であることを前提に、「う~ん」「そうだなぁ…」といったようなリアクションをあえて入れたり、「そうなんですよ!」「あっ!そういえば」などのように記号を適宜活用したりすると、”その人らしさ”が生まれ、読者に親しみを持ってもらいやすくなります。

また、記事の内容には直接関連しない内容でも、インタビュイーの人となりがよく伝わるエピソードなどを盛り込むことで、記事の深みやおもしろさが増すこともあるでしょう。

インタビュー記事で魅力を最大限に引き出しましょう

https://www.photo-ac.com/main/detail/30022070
インタビュー記事は、一般的な記事制作に比べると多くのプロセスを踏む必要がある一方、独自性が高く、他社、他メディアとの差別化という意味でも大きな強みとなり得ます。

読まれるコンテンツを目指すために意識すべきポイントは、徹底したリサーチによってインタビューの質を上げることと、キーフレーズをうまく活用したり、ストーリー仕立ての構成にしたりして読者の興味・関心を引くことです。相手の魅力が最大限伝わるよう工夫して、インタビュー記事を仕上げましょう。

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この記事を書いた人

ウェブ戦略コンサルタント

小野瀬 友樹

ウェブマーケティング戦略コンサルタント。コンサル実績:月間1000万PV/問い合わせ数約6倍/売上10倍など。企業ブランドが発信すべきメッセージを企画し、広告/SEO/サイト改善を活用して実現する。ウェブ解析士マスター。

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